バードカービングを日本に広めようとしていた(財)日本鳥類保護連盟は、当初より学校で愛鳥教育ができないものかと考えていました。鳥を観察し彫刻してから色を塗る工程で、子供たちは鳥を立体的に覚えることが出来ます。刃物を使う機会を失った子供に、正しい持ち方と削り方を説明することにより、使い方を誤れば危険である一方、正しく使えればとても便利な道具であることを同時に教えることが出来ます。1980年に小学校でバードカービング教室を実施しましたが、指導する側の経験不足から、指を切る子供を何人も出してしまった苦い経験があります。それを乗り越え本格的に取り組み始めたのは、1997年からで、今では年間1000人規模の生徒に教えるまでになりました。実施にあたり、次のようなことに注意する必要があります。
① 手の大きさと握力を考え、小学校6年生を対象とする。
② 子供の手に合った、よく切れる刃物を用意する。
③ 彫りたい鳥を決めたら、絵を書いて、出来るだけ多くの資料を調べる。
④ 指を切らないよう、刃物の持ち方、削り方をよく説明する。
⑤ 彫り始めたら、どこに力を入れたらよいのかを、個別に指導する。
⑥ 指を切ってしまった子供がいたら、正しい持ち方をしたかどうかを聞き、親指を使って削るよう再度説明する。
⑦ 刃物が使えるようになると、すごい勢いで彫り進めてしまうので、鳥の形をよく理解させておく。
⑧ 彫り上がったら、図鑑や写真を見ながら色を塗る。
⑨ 成果を皆で発表し合う。
中学校では、総合学習の時間を使ってバードカービングを教えます。
① 一年生の総合学習で、コアジサシのデコイを作る。
② 渡り鳥のコアジサシを題材にして、環境保護のあり方を説く。
③ 刃物に慣れていない生徒がいるので、持ち方と削り方を教える
④ 彫り上がったら、野外に置いてもはがれないアクリル絵具で彩色する。
⑤ 各地のコアジサシの保護団体に、デコイを貸し出す。
⑥ 2学年の4月に、保護区にデコイを設置しに行く。
⑦ 保護団体と学校とが連絡を取り合って、保護活動を行う。
⑧ 保護区に観察に出かける。
⑨ 2年間のまとめをする。
我孫子市立高野山小学校のホームページより)
平成22年6月17日 バードカービング体験を行いました。
バードカービング界の第一人者、内山春雄先生を講師にお招きし,今年も6年生でバードカービング体験を実施しました。子どもたちは、一人一人が事前に自分の彫りたい鳥を選び,特徴などを調べ作業に入ります。今日は一日目なので,まだおおまかな形ですが,明日もう一日かけて,丁寧に色を付け仕上げていきます。出来上がった作品は,10月に行われるジャパンバードフェスティバルに参考作品として,出品する予定です。