バードカービングと歴史

バードカービングは、1800年代中頃からアメリカ東部で、ガンやカモ類の狩猟の際、鳥をおびき寄せるために作られたデコイ(囮)から装飾品として変化し生まれました。 日本にバードカービングが紹介されたのは1979年のことで、(財)日本鳥類保護連盟が愛鳥教育に役立てようと活動を開始したことから始まりました。 (財)日本鳥類保護連盟の活動の一環として始まったことが幸いし、鳥を「殺すための道具」としてではなく、逆の発想で、保護に生かそうという取り組みが始まりました。私が参加したのは1980年からで、博物館での展示にカービングが使えるかどうか、検討が始まりました。剥製では展示が難しい絶滅種や絶滅危惧種も正確に彫ることが出来れば、今までにない博物館の展示物になるであろうという可能性を秘めていました。1981年、神奈川県平塚市博物館から15体の製作依頼を受け、日本で初めてのバードカービングの展示デビューとなりました。以来、全国の博物館やビジターセンターにバードカービングを納めてきました。バードカービングの良さは、たとえ鳥の死体がなくても作り出せることにあります。これまでに彫り上げた絶滅鳥は、オガサワラマシコ、ナンヨウヨシキリ、オオウミガラスなどがあります。絶滅危惧種では、ヤンバルクイナをはじめ、トキ、カラスバト、など多くの鳥を彫ってきました。博物館にとってもバードカービングは、丈夫さとクリーニングの容易さという利点を持っています。

カラフトアオアシシギ(夏羽)
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ヘラシギ
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アオジ
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