一分象嵌は、糸鋸機での象嵌が始まった明治の中頃から、ほとんど形を変えることなく今に引き継がれてきました。異なった2枚の薄板を仮止めし、糸鋸機の作業盤を傾斜させて板を挽くことにより、上の板を下に落とすことができ、隙間のない象嵌が出来上がります。象嵌する板の厚みが一分(3.3mm)なので、「一分象嵌」と呼ばれています.。 象嵌されたものを台木に圧着し、鉋で表面を仕上げます。鉋がかけられる木であれば、すべての木が象嵌に用いることができるので、最も木肌の美しさを引き出すことができる技法です。主に欄間、衝立、屏風など一品ものの美術品に用いられる木象嵌です。
一分象嵌の製作工程
①鳳凰の尾羽(カキの縮み杢)を重ね挽きする。糸鋸のテーブルが傾斜している。