視覚特別支援学校で「ダーウィンの進化論」

これまで、視覚特別支援学校では、「ダーウィンの進化論」の授業は困難でした。触察が不可能で、嘴の違いを体感できなかったためです。そこで、科学博物館、及び、鳥類学者の方々のご協力のもと、ダーウィンフィンチ15種と、その祖先に最も近いとされる鳥1種の雄雌のバードカービングを製作することが出来ました。そのうち、4種の地上フィンチで「ダーウィンの進化論」の説明が可能であり、タッチカービング(触ることが出来るバードカービング)を制作しました。



(左から、オオガラパゴスフィンチ、ガラパゴスフィンチ、コガラパゴスンフィンチ、ハシボソガラパゴスフィンチ)

鳥類学的に正確に彫られたタッチカービングは、指先での触察で、細部まで観察することが出来ます。嘴の小さなコガラパゴスフィンチは小さな植物の種を食べ、大きな嘴のオオガラパゴスフィンチは、硬くて大きな植物の種も食べることが出来ることなど、貴重な情報が得られます。

授業では、ハシボソガラパゴスフィンチは、種やサボテンの花の蜜を主食としていたことを説明。乾期には、イグアナの体につくダニ、カツオドリの血をなめることを覚え、卵まで食べる技まで身に付けた。このように、それぞれのフィンチが知恵を使い、特性を生かした生き方をしていくうち、徐々に進化していったことを教えた。

「触ることで鳥の特徴が分かった。」、「ダーウィンの進化論は難しいと思っていたがよく理解できた。」、などの感想が聞かれ、「タッチカービング」による授業が大変有意義なものであることがわかりました。更に多くのところで、出前授業を行っていきたいと考えています。